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カオスとは、不規則にみえる振舞いであるにもかかわらず、実は規則に従って発生している現象です。従来、自然界でみられる不規則な現象は、規則に従わない確率的なものだと考えられていました。しかし、カオスの発見によって、「不規則な現象の中にも、規則に従っているものがある」ということが分かったのです。 数理生態学者のロバート・メイは、昆虫の個体数変化を研究する中で、驚くべき現象を発見しました。昆虫の親の世代の個体数と、子の世代の個体数には、次のような関係が成り立っています。 Xn+1 =aXn (1-Xn) aは定数、つまり決まった数です。 小さい文字のnやn+1は、世代の番号と考えたらよいでしょう。Xnは親の個体数、Xn+1は子の個体数です。親が5世代目だったらX5、子はX6となるわけです。 X0 (最初の先祖の数)が決まれば、式によってX1 (1世代目の数)が決まります。X1が決まれば、X2 (2世代目の数)が決まります。X2が決まれば……と、子孫の個体数は親の個体数によって決定します。つまり、厳格な規則に従っているのです。 この生態学の基本方程式から、信じられないような複雑な振舞いが発見されたのです。 n(世代)を横軸に、Xn (個体数)を縦軸にとってグラフを描きます。aは定数ですが、昆虫の種類や環境の変化によって異なります。種類や環境に見合ったaを探すために、aの値をコンピュータでいろいろと変化させて計算すると、下のグラフのようになりました。 ![]() 上から4番目までのグラフには、明らかな周期性がみられます。ところが、一番下の5番目のグラフ(aが3.5699456…以上のとき)は、まったく周期をもっていないようにみられるのです。 5番目のグラフも、「Xn+1 =aXn (1-Xn)」という方程式(つまり厳密な規則)に従っているものです。規則に従っているのに、振舞いは不規則になっているのです。これがカオスです。 もし、「Xn+1 =aXn (1-Xn )」という方程式を予め知らされずに、5番目のグラフだけを見たらどうでしょうか? このグラフが厳密な規則に従っているとは、誰も思わないでしょう。 このことから、どんなに複雑にみえる現象でも、実は単純な規則から発生しているかもしれないと考えられるようになりました。カオスの発見は、複雑系の科学を考える上で大きな進歩だったのです。 (付記) ちなみに、英語の「chaos」は「ケイオス」と発音します。初めに翻訳した人が誰だか知りませんが、今でも日本では「カオス」と発音します。むろん、海外で「カオス」と発音しても通じません。いやぁ〜、翻訳って重要ですね。特に新しい用語を翻訳するときには、細心の注意が必要です。 |
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地震も、カオス(Χάος 古代ギリシャ語)の一例なのでしょうね。 |
Sunny 2008/06/15 00:24 |
地震は、自己組織化臨界を保とうとして起きていますから(5月31日の日記)、確実に規則性があります。「いつ起きるのか」ということは、確かにカオス理論を研究していくことで解明されるかもしれません。 |
小林浩 2008/06/16 21:13 |
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