パラダイムシフト 〜アヒルがウサギに見える日〜

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<<   作成日時 : 2008/06/03 21:34   >>

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画像このブログの表題にもなっているパラダイムシフトについてです。なお、詳細はぜひ拙著「宗教は科学の生みの親」をお読みください。

パラダイム論を唱えたのは、アメリカの科学史研究家トーマス・クーンでした。1962年のことです。クーン登場以前の科学界は、まさに絶頂期でした。ウィーン学団なる科学者集団が結成されて以来、「科学にあらざれば学問にあらず」とまで言われ、社会学、心理学、生物学、化学、物理学などを1つにする「統一科学」の体系化を目指していた時期でした。

そのような中で、畑違いの歴史家であるクーンが、科学の本質についてまったく新しい考えを提唱したのですから、その反響たるや、クーン本人の想像をはるかに超えるものでした。論文発表から3年後には、科学哲学界の大御所であるカール・ポパーが議長を務めたシンポジウムで、多くの専門家から批判を受けることになりました。後にこのシンポジウムは「ポパー派によるクーンの袋叩き」と称されたほどです。

クーンは「パラダイム(人間の主観)こそが科学を作り出している」と言うのですから、「客観的なデータに基づいて、科学が確立されてきた」という従来の科学観を真っ向から否定しているわけです。当時の科学者からみれば、それは「科学そのものの否定」でした。ポパーたちが躍起になったのも致し方ありません。

しかし、この論争が契機となって、クーンの論文は世界中で注目を集めるようになりました。その結果、クーンがこの論文で主張した「パラダイム」という概念は、今や一般的な用語として広く使われるようになったのです。そのため、クーンが唱えた科学観は、別名「パラダイム論」と呼ばれています。

クーンはパラダイムを「一定の期間、研究者の共同体にモデルとなる問題や解法を与える、一般的に認められた科学的業績」と定義しています。簡潔に言い換えれば、「ある期間、科学者たちが自然を観察する際に基本となる考え方」とでも言いましょうか。広辞苑ではさらに咀嚼して、「一時代の支配的な物の見方」と説明されています。

科学史を研究する中で、クーンは科学という営みが「パラダイム→通常科学→変則事例→危機→新しいパラダイム」というプロセスを経ていることを発見したのです。

出発点にはパラダイムがあります。科学者たちは、偏見を持たず、客観的に自然を観察しているのではありません。ある時代、ある期間、暗黙の内に前提となっている考え方、常識となっている考え方に影響されながら、自然を観察しているというのです。

「通常科学」とは、そのような思考の枠組であるパラダイムに則って営む研究活動を意味します。クーンは通常科学を、ジグソーパズルにたとえています。ジグソーパズルには、決まった枠があります。その枠内でピースを組み合わせ、絵柄を完成させます。通常科学とはまさに、パラダイムが設定した枠内で、パラダイムが描き出す絵柄を完成させる「パズル解き」のような作業なのです。

「変則事例」とは、通常科学では説明できない現象です。変則事例が発見されても、初めのうちは今までのパラダイム内で解決するべき「問題」として認識され、何とかパラダイムとの整合性を持たせようと理論を調整するか、どうしようもない場合には、一時、取り扱うことが保留となります。しかし、変則事例が多くなると、ついにパラダイム自体に「危機」が訪れ、新しいパラダイムが必要となるというわけです。

先ほどのパズルにたとえれば、変則事例はどうしても収まらないピースのようなものです。まだパズル解きが完成からほど遠い時には、収まらないピースがあっても、とりあえず枠内の端に置かれて後回しにされ、さほど深刻な問題とはなりません。ところが、完成に近づくほど深刻さは増します。そして、例えば残り3個となった時に、その3個がどこにも収まらなかったら、パズルは完成しません。これが「危機」です。

このような状態になったら、今まで一生懸命に組み合わせて来たパズルをすべてバラバラにして、新たな枠組みで、新たな絵柄を完成させることを目指します。これが「新しいパラダイム」の出現です。

これではもはや、「科学の進歩」とは言えません。ですからクーンは、「科学革命」と表現しました。科学者たちが、いっせいに古いパラダイムを捨て、新しいパラダイムを選択するのですから、まさに革命という表現が的を射ています。

シフトレバーを操作して断続的に移行する車のギアチェンジに似ていることから、「パラダイムシフト」とも呼ばれています。科学の歴史は、客観的にデータを分析して進歩してきたのではなく、パラダイムの取捨選択によって綴られてきたのです。


パラダイム論は科学史や科学哲学という学問分野に属するものですが、今ではあらゆる分野に通用することが明らかになっています。もちろん、皆さん一個人一個人の生活にも当てはまります。このブログでは、今後もパラダイム論に基づいた視点で記事を書いていこうと思います。

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【科学史】についてブログや通販での検索結果から見ると…
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2008/06/06 16:20

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
ぼくの「パラダイムシフト」・「ウサギがアヒルに見える日」です。
一応、表現してみたのですが・・・。
ブログ紹介(下記)
http://blogs.yahoo.co.jp/tonkimitoshi/32340455.html
松西寿三
2008/06/10 02:07
ブログ紹介・訂正
http://blogs.yahoo.co.jp/tonkimitoshi/
松西寿三
2008/06/10 02:17
ブログ拝見しました。着実に更新されておられますね。そちらに書き込もうと思いましたが、ブラウザーの関係なのかうまくいきませんでしたので、こちらで失礼します。
小林浩
2008/06/10 20:58
ご返事、感謝です。
統一運動に対して、日本が、
「パラダイムシフト」・「ウサギがアヒルに見える日」を迎える日まで、忍耐強く、寛容な心で、ブログ
を発信して行こうと思っています。
ぼくなりの最善を投入して。
小林浩さんのこのブログの名前、天が付けられた
意味のあるものだと感動致しました。
松西寿三
2008/06/10 21:53

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